アロマテラピーと一次予防を考える
~うつとアロマテラピー~

2015年9月5日(土) よみうりホールにて、AEAJ(公益社団法人 日本アロマ環境協会)主催による専門セミナーが開催され、HEARTY セラピストも参加をして参りました。

【講演 1】「うつとアロマテラピー」 小森照久氏
【講演 2】「ストレスと脳疲労、香りの効果」 外池光雄氏 ⇒ こちら
今回のセミナーで、講師の小森先生のお言葉を通してとても心に残った事がありました。要点を簡単にご報告致しますので、ご関心あります方、御覧になって下さいませ。
ブログも、講演 1と、講演 2の、2回に分けて、ご報告をしたいと思います。

講演 1
「うつとアロマセラピー」

小森輝久 先生 
・・・三重大学医学部卒業。同大学精神神経科学講座助手、講師、助教授を経て、現職 三重大学医学部 看護学科 成人・精神看護学講座 教授、医学博士をされています。日本生物学的精神医学会評議員。

うつ病とは
 本質は、ガス欠で、生命力が低下している状態の事。

うつ病の特徴
 「不眠」が重要なサイン。
 睡眠が浅い為、朝早く目が覚めるが、日中の覚醒が不十分の為、昼間は食欲が無く、仕事などやる気が起きず、何をしても面白くない。夕方から気分が良くなる。
 理論的には、視床下部や大脳辺縁系の機能障害がおこる⇒これらは内分泌系、免疫系、自律神経系の中枢である為、身体症状は様々で、要するに「何でもアリ」
 「頑張らないといけない」と思いながらも、頑張れない状態であるので、周囲が励ましてしまうと、更に本人を追い詰めてしまう事になる。

香りを使うという発想
 嗅覚の刺激は、視床下部、大脳辺縁系などに伝えられる。
 これらの部位は、内分泌系、免疫系、自律神経系の中枢である為、香りによってこれらのバランスの乱れを是正出来るかもしれない、という考えの元、マッサージは用いずに、香りのみの限定で、研究を開始されたそうです。

 ★アロマセラピーは、「伝承」や「経験」に依存しており科学的根拠が乏しかった為、基礎研究から開始をされ、25年前からアロマセラピーの研究を開始されたそうです。

抗ストレス作用が見出された香り
 ・レモン
 ・チュべローズ
 ・ラブダナム

抗ストレス作用と抗うつ作用の両方が認められた柑橘系精油を臨床応用へ
 対象:26~53歳男性の大うつ病入院患者
 使用精油:レモン、オレンジ、ベルガモット
 比較対照:抗うつ薬投与患者8人

 「ハミルトンうつ病尺度」
 「尿中コルチゾール(ストレスで増加するホルモン)」
 「CD4/8(免疫機能の指標で数字が大きいと免疫機能が高いという事であるが、うつでは不適切に高い事がある)」
において、抗うつ薬投与患者、柑橘系精油使用患者、ともに、数値が減少した。
 
結果
 柑橘系精油を用いての治療は、
・抗うつ薬を減量、または中止出来る可能性がある。
・神経内分泌免疫機能の正常化に有用である可能性がある。
 しかし、

適応と限界
 ・抗うつ薬における治療においても精神療法や休養療法が必須であると同様に、香りの抗うつ作用を生かすような精神療法や休養療法が必須であり、香りだけ与えればうつ病が治るという事は有り得ない。
 ・自殺念慮や強い焦燥感がある場合、それらを抑える作用が無い香りの使用は危険であり、要注意。

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秋の空
健常者でも、メランコリーな気分や、センチメンタルな気分になる季節かも・・・。

うつ病予防
★お酒は基本的に興奮作用がある為、飲酒で眠れたとしても、熟睡できず、疲労が蓄積し、うつ病が悪化する。

①不眠に対するアロマの応用
 使用精油:バレリアン
 バレリアンの香りを悪臭と感じる人もあり、すぐに臨床応用が出来なかったそうですが、効果を残したまま、悪臭を除去された物を資生堂が開発し、それを使用されたそうです。

 結果
 バレリアンを使用した結果、中途覚醒が無くなり、軽症不眠症に限り、有効。

 ギャバ・・・抗ストレス物質で、神経の興奮をシャットアウトする。
 バレリアンの香りによる効果の作用で明らかになったものは、少なくとも1つは、ギャバの分解酵素の働きを抑制する、という事。つまり、ギャバの働きを強めるという事。

オレンジ副交感N

副交感神経(休息態勢)を高める精油、オレンジ・スイート
(見難くてゴメンナサイ)

②ストレス緩和におけるアロマの応用

≪自律神経≫
Ⅰ交感神経・・・戦闘態勢
Ⅱ副交感神経・・・休息態勢
自律神経は、上記2つの神経系から成り、両者のバランスによって成り立っている。

使用精油:レモン、バレリアン

Ⅱ副交感神経(休息態勢)
 うつ病患者は、副交感神経(休息態勢)の機能が低くなっている。
 
 レモン精油使用後は、精油暴露後約30分後、うつ病患者、健常者共に値が増加。うつ病ではより明確に増加。
 バレリアン精油使用でも、約30分後、うつ病患者、健常者共に値が増加。健常者では増加を保つ。

Ⅰ交感神経(戦闘態勢)
 うつ病患者では、交感神経(戦闘態勢)の機能が高くなっている。

 レモン精油使用後、うつ病患者の場合は、約30分後交感神経の働きが高まるが、約1時間後は精油使用前より値が下がる。
 健常者では、約30分後値が上がるが、40分後には元に戻る。
 バレリアン精油使用後、約30分でうつ病患者、健常者共に、値が減少。

結果
 香りは、自律神経機能に影響を与えうる

結論
 薬効のはっきりしている抗うつ薬に比べると香りの効果が劣る事は否めないが、「予防」といった観点でアロマセラピーは大きな役割を果たしてる。

宇宙ステーションでも・・・

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 H10年4月~H14年3月まで、宇宙環境利用研究推進委員会において、宇宙飛行士であった毛利氏、向井氏を交えて、宇宙環境におけるストレス予防の為に、宇宙ステーションで香りを用いる事が検討されたそうですが、その設備に莫大な費用がかかるという事で、計画は中止となったそうです。

マスコミで・・・ 
 学会発表、論文発表に伴い、当時マスコミに大きく取り上げられたそうですが、問い合わせの殺到や患者の先入観の問題、拡大解釈などの誤解の為に、香りの研究成果の公表を控えているそうです。

質疑応答で・・・
 講演の後に、質疑応答の時間が設けられています。「香りとうつ」の内容というより、個人的な質問・・・「知人がご主人を自殺で亡くされた。その知人に対して、どのように接したらよいか・・・?」という質問がありました。
それに対して、講師の小森先生はとても丁寧にご回答されていました。そして、セミナー②に進んだのですが、
セミナー②の質疑応答が終わった際に、再度、セミナー①の講師の先生、小森先生から、「先ほどの質問に対する答えの追加」として、お話がありました。
 その内容が、
「そのご主人を自殺で亡くされた奥さまは、今、とっても頑張られていると思います。ので、泣かせてあげて下さい。もう、十分頑張っていらっしゃるのですから・・・。」といったお言葉でした。

・・・なんて、優しい・・・
そうですよね、「相手の立場に立って、考える」・・・本当に大切なことだと思いました・・・

HEARTY セラピストにとって、今回の講演で、精油の薬理効果の講演内容以上に、心に残ったお言葉となりました

銀座でランチ&マリアージュフレール

秋のアレンジ

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